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仏教,歴史,哲学,法律についての備忘録。

DVは児童虐待

 

家庭における配偶者に対する暴力は児童虐待に該当します。

 

児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力は「児童虐待」と定義されています(児童虐待の防止等に関する法律2条4号)。

児童虐待防止法2条本文

第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

児童虐待防止法2条4号

児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。第十六条において同じ。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

 面会交流の際にもこのことは考慮されます。

「暴力」(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動)の対象が配偶者だけであって,子どもには及んでいないとしても,面会交流が認められないのが原則です。

秋武憲一ほか『子の親権・監護の実務』165頁

DV事案でも様々な態様があるため,場合によっては,面会交流を実施することができる事案もあるであろう。

 「実施することができる事案もある」というのは,つまり,『実施することができないのが原則』という意味です。

ただし,同書166頁では,事案に即した解決をすべきことが強調されています。

子が非監護親の配偶者に対する暴力を見ていたということをもって,安易に面会交流を制限するべきと判断するのは相当ではないであろう。

なお,面会交流には,面談の方法による直接交流のほか,手紙を送る,写真を送るといった間接交流もあります。DVだからといって間接交流まで即座に否定するのは相当ではありません。

しかし,直接交流は原則として難しいことになります。

 

DVの加害者は,こう言うかも知れません。

「殴ったり暴言を吐いたりしたのは配偶者に対してだけ。子どもには何もしていない。」

実際には「児童虐待」であり,DV加害者が(その人なりに)愛していた子どもとの面会交流も制限されます。