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仏教,歴史,哲学,法律についての備忘録。

告訴状の「受理」

警察は、告訴を受理する義務がある。

司法警察員たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、管轄区域内の事件であるかどうかを問わず、この節に定めるところにより、これを受理しなければならない

(犯罪捜査規範63条1項)

告訴状に証拠を添付する必要は、本来はない。告訴は口頭でも受け付けるとされている。

つまり、証拠となるような資料の提出は必須ではない。

自首を受けたときまたは口頭による告訴もしくは告発を受けたときは、自首調書または告訴調書もしくは告発調書を作成しなければならない。

(犯罪捜査規範64条1項)

また、告訴の趣旨が不明であれば後に補充させることを想定している。趣旨不明を理由に告訴を受理しないことは想定されていない。

書面による告訴または告発を受けた場合においても、その趣旨が不明であるときまたは本人の意思に適合しないと認められるときは、本人から補充の書面を差し出させ、またはその供述を求めて参考人供述調書(補充調書)を作成しなければならない。

(犯罪捜査規範65条)

とはいえ、犯罪捜査規範は「警察官が犯罪の捜査を行うに当つて守るべき心構え、捜査の方法、手続その他捜査に関し必要な事項を定め」(同1条)た内規というのが本質である。

 

告訴状の「受理」に関する法律としては、行政事件手続法37条がある。

行政事件手続法上、届出に対する「受理」という概念は存在しない。

適式な届出を受けた行政機関は、当然にこれを受理しなければならない。

届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。

(行政事件手続法37条)

 

なお、行政事件手続法37条は同法第5章に規定されている。

刑事事件であることを理由として適用除外はされないし、そもそも、告訴状の受付は処分でも行政指導でもない。

第三条 次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない。
(中略)
五 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分及び行政指導

(行政事件手続法3条1項5号)

 しかし、警察も検察も、告訴状を「不受理」とする。

郵送で送付しても返送してくる。

捜査機関は、告訴状の提出が「届出」(行政事件手続法37条)に該当しないと解釈しているようである。

あるいは、同条所定の要件のいずれか(下記)を欠くと考えているようである。

  1. 届出が届出書の記載事項に不備がないこと
  2. 届出書に必要な書類が添付されていること
  3. その他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合