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仏教,歴史,哲学,法律についての備忘録。

刑事訴訟法

勾留に関する「裁判長と同一の権限」

第二百七条 前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。 「勾留の請求を受けた裁判官」が「裁判所又は裁判長と同一の権限を有する」事項は以下のとおり(…

告訴状の「受理」

警察は、告訴を受理する義務がある。 司法警察員たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、管轄区域内の事件であるかどうかを問わず、この節に定めるところにより、これを受理しなければならない。 (犯罪捜査規範63条1項) 告訴状に証拠…

保釈に対する抗告と準抗告の違い

起訴後、第一回公判まで*1にされた保釈請求に対する不服申立ては準抗告になる。 第一回公判後にされた保釈請求に対する不服申立ては抗告になる。 まず、保釈請求に関する決定(許可決定又は請求却下決定など)については、刑事訴訟法420条2項に基づき、抗告…

「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」と「罪証を隠滅する虞」との違い

「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」があるときが権利保釈の除外事由(権利保釈が許されない例外的な場合)とされている(刑事訴訟法89条4号)。 第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。一 被告…

弁護人選任届の提出先

弁護人選任届の提出先は手続の進行によって変わる。 検察官送致前は事件の取扱い警察署(司法警察員) 検察官送致後は検察庁(検察官) 起訴後は裁判所*1 検察官送致前は「当該被疑事件を取り扱う検察官」がいないので司法警察員に提出するしかない。また、…

罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由の内実

「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当の(ママ) 理由があるとき」と規定されているのをみると、それは罪証隠減の単なる抽象的な可能性では足りず、罪証を隠滅することが、何らかの具体的な事実によつて蓋然的に推測されうる場合でなければならないことが明か…

常習性があると権利保釈がされない根拠

常習として長期3年以上の懲役に当たる罪を犯したとき(刑訴法89条3号)には権利保釈が許可されない。 しかし、常習性が権利保釈の除外事由とされている趣旨は判然としない。 勾留の更新回数について制限を設けないとした刑訴法60条2項ただし書きとの…

否認・黙秘を過度に評価すべきでないとした衆議院・参議院各法務委員会の附帯決議

平成28年の刑事訴訟法改正*1の成立に際しては、衆議院及び参議院の各法務委員会が附帯決議をした。 衆議院法務委員会の附帯決議(平成27年8月5日) 政府及び最高裁判所は、本法が度重なるえん罪事件への反省を踏まえて重ねられた議論に基づくものであ…

黙秘権の根拠(なぜ黙秘が許されるのか)

黙秘権の理論的根拠 黙秘権の歴史的根拠 「正直に話をするのが人として当然だ」と言えるか? 「潔白なら説明すべきだし、できるはずだ」と言えるか? 「無実なら自白するはずがない」と言えるか? ※黙秘権の形式的根拠(根拠条文)については「日本における…

日本における自己負罪拒否特権と黙秘権の根拠規定

自己負罪特権の内容と根拠規定 黙秘権の内容と根拠規定 黙秘権とは何か。 【被疑者】の黙秘権の根拠規定(【捜査】での黙秘) 【被告人】の黙秘権の根拠規定(【裁判】での黙秘) 自己負罪拒否特権と黙秘権との違い 様々な『自己負罪拒否特権』 刑事訴訟法だ…

起訴後も自動的に勾留が続く根拠

公訴が提起された後,公判への出頭確保及び(又は)罪証隠滅防止を目的として被告人が勾留される場合がある。これを起訴後勾留又は被告人勾留という。 勾留された状態のまま被疑者が起訴された場合,起訴後も自動的に勾留される。 自動的に起訴後勾留へ移行…