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仏教,歴史,哲学,法律についての備忘録。

弁護人選任届の提出先

弁護人選任届の提出先は手続の進行によって変わる。

  1. 検察官送致前は事件の取扱い警察署(司法警察員
  2. 検察官送致後は検察庁(検察官)
  3. 起訴後は裁判所*1

検察官送致前は「当該被疑事件を取り扱う検察官」がいないので司法警察員に提出するしかない。また、検察官送致後であっても司法警察員に提出することはできる(ふつうはやらない。)。

しかし、刑事訴訟法を知らない警察官(多数いる)は、検察官送致前であっても弁護人選任届の受領を拒否する*2

「検察官に出せ」「裁判所に出せ」と不可能なことをいう。

階級や役職が上の警察官は、試験や経験から上記取り扱いを知っていることが多いので、「上司と話をさせてください」と要請するのがよい。

上司も不勉強な場合は、受領させるか、「本日、刑事訴訟規則17条を示されましたが、弁護人選任届の受領を拒否し、○○に提出するよう指示しました」という一筆を書かせる。

 

上記取り扱いの根拠規定は刑事訴訟規則17条及び18条

(被疑者の弁護人の選任)
第17条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員に差し出した場合に限り、第一審においてもその効力を有する。

 

(被告人の弁護人の選任の方式)
第18条 公訴の提起後における弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を差し出してこれをしなければならない。

被疑者段階の弁護人選任届については形式不問。
ただし、勾留理由開示など裁判所に対して訴訟行為をする場合には連署した弁護人選任届が必要。

(公務員以外の者の書類)
第六十条 官吏その他の公務員以外の者が作るべき書類には、年月日を記載して署名押印しなければならない。

 

*1:事件が係属している裁判所。控訴した場合、記録が控訴審に移っていれば控訴審が係属する裁判所。その前であれば第一審の裁判所。上告も同じ。記録が移るまでには数か月かかることもあるので、提出時に裁判所へ確認するのがよい。

*2:刑事訴訟規則17条にあるとおり、「当該被疑事件を取り扱う…司法警察員に」差し出さなければならないので、留置されている警察署と事件を取り扱う警察署とが異なる場合には、事件と取り扱う警察署に提出する。