集団による意思決定
条件さえ整えば,集団の意思決定は一人の天才の意思決定に優る。
集団による意思決定は,意見の相違と異議によってよりよいものとなる。
意見の集計と集約(平均化)は必要だが,妥協ではない。
よりよい意思決定のためには,多様な参加者が,独立に行動する必要がある。
よりよい意思決定ができる「賢い集団」の4要件*1
- 多様性(集団に属する各人が独自の情報に基づく意見を持っている。)
- 独立性(他者の考えに影響されない。)
- 分散性(各人は身近な情報に特化。誰もが『専門家』であり,『専門家』は散在している。)
- 集約性(各人の判断を集計・集約するメカニズムが存在すること。)
この四つの要件を満たした集団は,正確な判断が下しやすい。なぜか。多様で,自立した個人から構成される,ある程度の規模の集団に予測や推測をしてもらってその集団の回答を均すと,一人ひとりの個人が回答を出す過程で犯した間違いが相殺される。*2
こうした集団の意思決定を用いた最も身近で有効性が実証されているシステムが,市場である。
*1:スロウィツキー『「みんなの意見」は案外正しい』(角川文庫)31頁
*2:前掲・スロウィツキー31頁